咲穂が、陽向を出産してから3年の月日が流れた、
そろそろ2人目が出来るといいねと話し合っていた。

そんな話をしていた約半年後に、
咲穂は念願の2人目を授かることが出来たのだった。

咲穂は陽向を妊娠していた時みたいに、
つわりが無く穏やかな妊婦生活を送れるかと思っていたが、
現実はそうはいかなかった…つわりは思っていた以上に酷く、
凄まじい吐き気が襲ってくることもあった、
つわりは酷い時は本当に酷いと噂で聞いていたが、
ここまでしんどいものだとは思わなかった、
毎日のように吐き気と格闘しながらも、
無事に安定期に入ることが出来た。

安定期に入り、つわりも治まり咲穂が、3年前に経験した
穏やかな妊婦生活をやっと送れるとホッと一息ついたのだった。

咲穂のお腹に宿った小さな命は、
順調にすくすくと育っていった、お腹もどんどん大きくなっていき、
陽向を妊娠していた時の間隔が少しずつ戻ってきた。

毎日、家事に育児に忙しい日々を送りながら、
咲穂は新たな家族の誕生を心待ちにしていた、
胎動も日に日に活発になり、
咲穂はお腹に宿った小さな命の成長を実感しながら、
お腹を優しく撫でてあげると小さな命は、
それに応じてくれるかのように元気に動き、
咲穂の疲れを一瞬にして吹き飛ばしてくれたのだった。

2人目は女の子が欲しいと思っていた、
とある日の妊婦健診で性別が女の子と分かり咲穂はとても喜んだ。
季節は春になり、桜がもうすぐ満開となるところまで来た、
咲穂は咲き誇った桜を見ながら散歩することを楽しみにしていた、
ついに臨月を迎え、あと少しで出産を迎えるところまで来た、
春の日差しが暖かく、散歩するにはちょうどいい気候になり、
咲穂は散歩に出掛けた、大きなお腹を優しくさすりながら
時にはお腹の赤ちゃんに話しかけていた。

そして、散歩に出掛けた日の夜だった、
あと少しで出産というところまで来ていた時に、
地震が起きたのだった、
家族は無事だったが咲穂が出産を予定していた産婦人科は、
被災してしまい他の産婦人科で出産するということになった、
他の産婦人科を探している時だった、咲穂はいつもとは違う痛みが始まり、
陣痛が始まったのだった、幸いなことに、
すぐに受け入れてもらえる産婦人科が見つかり家族は
一安心だった、しばらくすると分娩室から元気な産声が上がった。
咲穂は、無事元気な女の子を出産したのだった。
その女の子は、陽菜と名付けられたのであった。


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