おめでとうございます!妊娠してますよ。

妊娠が分かった時の私の心境は複雑だった。
お腹の子は1人で育てようと決意していた。
シングルマザーになっても生まれてくる我が子を
立派に育てようと心の中で誓っていた。

私の決意を親に話すと猛反対された…、だが私は
周りにどれだけ反対されても決心は決して揺るぐことはなかった。

猛反対された日の夜のことだった、
私は1人で育てることの不安と自分の不甲斐無さで
一晩中号泣した…。その時…お腹に手を当てていたら…、
赤ちゃんの胎動を感じた。きっと…「ママ泣かないで、
早く会えるのを楽しみにしているよ」って言っていたのだろう。

私が強くならなきゃいけないんだ!
1人で育てるって決めたんだから。

生まれてくる我が子を幸せにするためにも…、
自立をするためにも働き始めた。仕事を始めた頃には
6ヵ月目になっていた、日に日に実咲のお腹は大きくなっていった。
実咲は同じ仕事をしている人よりも 早く…、息が上がってしまった。
仕事場の仲間たちはちょっと休憩することを勧めたが…、
実咲は大きくなったお腹を優しくさすりながら
「赤ちゃんが頑張ってって応援していてくれるから
大丈夫です。」ってと笑顔で言い、仕事を続けた。

仕事場の中で唯一、妊婦の実咲はみんなの人気者に
なり朝、出勤した時、休憩の時、仕事が終わって帰る時に
実咲の大きなお腹を優しくさすってくれたのだった、
みんながお腹を触るとお腹の赤ちゃんはそれに
応えるように元気に動いた。

実咲がお腹の赤ちゃんのために一生懸命頑張っている姿を
見ていた親は産むことをようやく認めてくれたのであった。
今までの努力がやっと実を結んだのだった。

お腹は更に大きくなり仕事するのが難しくなってきた
実咲はみんなから勧められ産休を取ることになった。
時が流れるのは早く…、いよいよ臨月を迎えたのだった…、
大きくなったお腹を抱えながら家事をしていた
「ふぅ、ふぅ、ふぅ」ちょっとしたことでも
息が上がったのだった。

親は少し休憩した方がいいんじゃないと言ったが
実咲は出来ることはしたいからと言い、
大きなお腹を優しく撫でていたのだった。

いよいよ…出産する時を迎えた…。実咲に陣痛が
やって来た。実咲の親が見守る中で実咲は
一生懸命新しい命を命がけで産みだそうとしていた…、
しばらくすると元気な産声が聞こえてきたのだった。
「おぎゃー、おぎゃー、おぎゃー」出産を終えた後の
実咲は陣痛の痛みの涙と無事に産まれてきたことに感動して
涙を流していた。産まれた我が子は実咲によく似た女の子だった、
実咲は産まれてきた子供を「愛実(まなみ)」と名付けたのであった。
実咲は産まれてきた我が子に産まれてきてくれてありがとうって
言い優しく微笑んだのであった。


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